設置許可をめぐって群馬県と市民団体が最高裁まで争った同県高崎市の県立公園「群馬の森」にある朝鮮人労働者追悼碑前で16日、日本女性の会そよ風などの市民約40人が集会を行い、「判決に従い、早急に慰霊碑を撤去せよ」などと訴え、同日午後には前橋市の県庁を訪れ要望を伝えた。
追悼碑は平成16年、革新系の市民団体が県による10年間の設置許可を受けて設置。「政治的行事を行わない」との条件付きだったが、追悼式で出席者が「強制連行の事実を訴えたい」などと発言したため県は26年、条件に反したとして許可の更新を認めず、市民団体が不許可処分の取り消しなどを求め訴訟となった。
1審の前橋地裁判決は、県の更新不許可処分は裁量権を逸脱し違法と判断したが、2審東京高裁は「追悼式で『強制連行』という文言を含む政治的発言があり、追悼碑は中立的な性格を失った」などと指摘、1審判決を取り消して市民団体側の請求を棄却。昨年6月16日、最高裁は市民団体の上告を棄却、高裁判決が確定した。
最高裁の決定から1年となる日を選んだ、そよ風の鈴木由喜子会長は「判決にもかかわらず追悼碑を守る会の人々は再び追悼碑を使うと言っている。日本は法治国家ではないのですか。しかも、追悼碑は常に賠償を巡る日韓の争いを想起させるだけで分断しか生まず、日本人も朝鮮人も幸せにしない」と訴えた。
この日参加したのは、東京や神奈川、地元群馬などから集まった約40人。地元から参加したという男性は「強制連行による慰霊、追悼というけれど、調べても群馬県内で犠牲者が出たという記録は出てこなかった。これでは、ご先祖に申し訳ない。撤去してほしい」と呼び掛けた。