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[222] 九州行き③ 有田焼の大壺 2006.4.2  17:45:43   
18/4/2 (日) 曇り、午後から雨風強し

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裏
反対側の美人画、彼女は美人画が得意だそうだ

戦後生まれの従姉妹は有田焼の絵付け師をしていた。
歳が離れていたせいか、挨拶程度の付き合いだったが、
この度は隣合わせに座ったので、少し話をしてみた。

「有田焼の絵付けをしていると聞いているけど、どんな物を作っているんですか」
「あれは私が描いた作品です」

仏壇と床の間の間に民家には不釣合いな有田焼の大壺がある。

俄然興味が湧いていろいろ話し込んだ。
こんな大作だから分業で制作するのかと思ったが、全部一人で仕上げるそうだ。
こんなに大作だから、絵師の名前が出るんですか、と聞いたらば。

窯元の名前が出るだけだそうだ。
浮世絵だったら、絵師、彫師、摺り師の名前が明記されるのに、
なぜ焼き物の世界は没個性なんだろうか。

こんな大壺は注文を受けてから制作するんだから、
指名制があってもいいんじゃないかと思う。

この位大きい壷はどの位の値段するのか聞いたら、
彼女のいた窯元では
50万くらいで販売元に納めるそうだ。販売元は2倍から3倍の値段を付けて
「現金でお買い上げでしたら、130万にしておきます」という世界だそうだ。

「これは貴女が新築祝いにあげたんですか」
「従兄弟から注文を受けたので自分が暇、暇に描いて、
 三度も焼きますので原価材料費だけの10万頂ました」

そんな彼女も、2年前に緑内症で描けなくなり止めたそうだ。
掛かり付けの眼科で処方された薬で角膜がただれてとろけてしまったそうで角膜移植しか打つ手は無く、
この角膜は日本では手に入らないのでアメリカから取り寄せて、
医者は終業後に他の病院の手術室を借りて施術してもらったそうだ。
費用は約200万円掛かったそうです。

角膜移植をして日常生活には不自由しなくなったが。
もう絵を描く事は出来ない。