にほんブログ村

[207] 美人薄命 2006.2.9   23:59:10
18/2/9 (木) 晴れ 富士山見える

207_picture
2月8日 17時04分の日没


木曜日は仕事を入れていないので休み。
親友の墓参りに新大久保のお寺に行った。

彼女とは高校入学式の日から友達になった。
それから49年間のお付き合いだった。
長かったと思う。

お互い、頭文字が「K」だったので席が前後になり、
すっかり打ち解けて人懐っこい私はその日彼女の家まで行った。
田園風景のなかを歩きながらおしゃべりに夢中になりながらも、
椿の生垣の道に花びらがたくさん散り敷いて綺麗だなぁと思っていた事を、今でも椿の咲いている道を歩くとあの日の事が思い出される。

彼女は私と違って、先祖は代官だったそうで、昔は地主で華麗なる一族だった。

おまけにすごい美人だった、
でも自分が美人だという事を気が付いていないのかしらと思える態度だった。
私は、当時人気のあった「ピア・アンジェリ」によく似ていると思った。
ちなみにピア・アンジェリは39歳の若さで失意のうちに自殺していたんですね。
(後記:イタリアの人気女優だった)

高卒後、当時は県知事が良家の子女を推薦して代表に選ばれる
ミスユニバースの県代表になった。
でもその美貌を利用する事は無かった。

その頃は彼女がまぶしくて、それにひきかえ私の人生は不如意だったのでしばらく遠ざかっていた。お互い東京で結婚して子供が出来た頃、同窓会で再会し、又親密なお付き合いが始まった。

彼女は頭もよく、私よりずっと大人だったので、
尊敬とリーダーの役割を彼女にゆだねて何でも相談した。
こんな友人関係は他には無い。
例えば「ホテルで催行されるお茶会に招待されたけど、どう対処すべきか」とか
彼女は何でも的確に答えてくれた。
家族に対してもそうだったようだ。

ますます親密度が増していた60歳の時、
乳がんになり、肺に来て、最後脳に来て64歳で亡くなった。
私は母に死なれた時よりショックだった。

彼女は幸せだったと思う、最後の1年間は在宅でご主人が手厚い看病された。
僕は女房に惚れていましたからね、やれるだけの事はしましたので
悔いはありませんとご主人の言葉です。

彼女は家族と自分の健康管理にはとても留意していました。
人間ドックに入り、すっかり健康ですと太鼓判押されたわと
喜んでいたのに6ヶ月足らずで、自分でシコリに気がついたのです。
健康管理に気をつける事と、寿命は関係ないですね。

当時、娘に聞きました「美人薄命とブスで長生きするのとどっちが良いと思う」
娘曰く「ブスで長生きしても面白い事無いんじゃなぁい」

ある時、ホテルで食事をして、彼女に向き合って長い事おしゃべりした。
そしてトイレの鏡を見たとき「あっ、こ 怖い」と思った。
そこには、私の顔が映っていた。長時間美しい顔を見続けていたので顔とは美しいものとインプットされていたのだ。

私は美人に生まれなかったので、美人がどれほど得で面白い人生を送れるか知りませんが、若い頃、男共がかわいい娘をちやほやする事に気分を悪くした事はありますね。
そんな時の男性って露骨で、配慮が無いですよね。

もっとも、当時の私ってかわいげの無い女でしたけどね。いまもか。

子供3人も立派に教育なさったのでそれぞれ有能な人生と家庭を築いていますが、ご主人は一人で暮らしていらっしゃいますが、時々は欝になられるようで、電話するとそれはそれは長くなります。
お宅に伺って思い出話などしたいと思うんですが、
いくらお互い高齢とはいえ男性一人のお宅には躊躇していましたら、外でお食事でもとお誘いを受け墓参りの後、食事とお茶で4時間半も話に花が咲きました。

ご主人は今でも、奥さんの夢を見るそうですが、それが笑っちゃいます。
「今でも高い所から物を言うんですよ」
彼女らしいな、あの世に行っても偉そうにしているんですね。

生前、彼女はご主人に
「あなた、そこに座って下さい」と言って正論を吐いていたそうです。