[646] 特記事項 2008.6.12  23:55:44   
20/6/12(木)雨


先週中「鬱」に入っていて書きたいことは山ほどあるのに
書く気がしなかった。
きっかけはあの認定調査の特記事項だ。

始めての経験ではあるがとても困難な作業だと思った。
なぜなら「寝たきり老人」ではなくて「寝た振り老人」の
調査だったから、
私の潔癖症が精神を痛めたのだ。

あの日約束より10分ほど早かったけど訪問したら、
相手はベッドの上に端座して食事をなさっていた。

「あぁ、食事中にご免なさいね」
『いぇいぇ、もう終わるところでしたから』と立ち会いの娘さん。
そうしたら相手は寝ると言って寝てしまわれた。
これから調査で寝ていても起きてもらわねばならないのに。

それから老人はすっかり寝たきり老人になってしまい、
何を聞いても返事をしないで3度くらい呼びかけるとうっすら
目をあけてぼんやりと何を聞いても
「判らない」「知らない」「見えない」「聞こえない」「出来ない」と言うばかり。

先方の担当のケアマネも同席していたので、
二人に聞くしか方法はない。
私にも憶えはあるよ、うちの義母の認定調査の時、
事前に「出来る、出来ると言わないように」と言い聞かせていても
認知症の義母には意味無かったけどね、

こちらの老人は認知は無いようだったから、
言われた通りにしていたわけだ。
二人の話では出来ないことが一杯だったけど矛盾だらけなの、
でも事情は良く判るのでなるだけ希望に添いたいと思った。

でもねぇ、出来ないとマークするとなぜ出来ないかと言う理由を
特記事項に書かなければならないの、
それも他の質問事項と矛盾無く整合性が無いといけない。
必ず保険者(区の介護保険課)から問い合わせが来るらしい。

それで帰社してから2時間かけて消しては書き消しては書き
紙が破れる程推敲を重ねた。
書くことはなんでもない、
出来ないを矛盾無く書くことが困難なの。

夕食後も寝るまで呻吟した。出来ないが多いので裏面まで書いた。
後は明日先輩(後輩)に見て貰ってこれで良いかと確認して貰うしかない。

朝起きたら、背骨が痛いの、いつもは筋肉が重いんだけど、
その時の背中の辛さはいつもと違う。

多分これは本音でしか生きられない
不器用な私の心が痛んでいるのだと思った。
本人に何一つ確かめられない認定調査なんて役目を果たして
いないんじゃ無いかと良心の痛みでもあった。

やはり私には無理な仕事だと思った。
会社で先輩に開口一番言った。
この仕事は貴方の仕事にしてくれない。
私には無理と思う、
先輩は私の書いた特記事項に呆れていた。
こんなに丁寧に書く人は居ませんよと、
でも出来ないが多いのだからこうなってしまったのよ。

でも、まあ先輩も褒めてくれたし、いい仕事したかなと気を取り直して他の仕事をしている間にいつのまにかあの嫌な背中の痛みは消えていた。
すっかり肩の荷が下りたようだ。
これからはもっと気楽に書いた方が良いと先輩にも言われたし、
真剣に相手と向き合うと心が痛むと思った。
それよりこの仕事は割の合わない仕事であるから止めようと
思った。
(後記:終わってから雑談している時に娘さんは安心したのか、本人は有名な歌手の大フアンでよくコンサートに行くと話した、最近も行ったそうだ、えっえっえっ!!寝たきり老人じゃなかったの??)

それから、翌日又あの主任ケアマネにもっと心にぐさりと来ることを言われてダブルパ~ンチ、もう参った。
立ち直れない。

以前の日記で主任ケアマネ(30代男性)との確執をグダグダ書いたことがあるが、あれから書かなくなったのは状態が良くなった訳では無く私も仕事に慣れてなるべく彼には聞かないようにしていたからで、おかげで気楽に聞けないので知らないことが沢山ありそうで今だ新人気分から脱出出来ないでいる。

今回初めて区変(区分変更)を申請したが、誰にも相談しないで他事業者には電話連絡ですませていたら、それは申請中としたケアプランを作成し直して他事業者に配布しなければいけなかったのだ。

彼に叱責されたので初めてで知らなかったと言ったら、
それは最初に教えてあるはずでしょうと彼は言うの、
そして極めつけは
「もう4年にもなるんだから(3年だけど~)ちゃんとした仕事して下さいよ」

始めにマニュアルをど~~んと教えられて覚えられますか、
お若い方、
一つ、一つその都度で無いと覚えられないのよ、年寄りは。

私、仕事はまだ誰にも負けないと自負しているけど、
やはり端から見ると
「年寄りは駄目」と映るんでしょうか。